2月 2015

セルフネグレクト――自分自身を放棄してしまう原因とその対処

前回はセルフネグレクトとは?というお話しを致しましたが今回は原因と対策についてお話しします。

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○セルフネグレクトの原因

(1)家族・親族・地域・近隣等からの孤立
(2)配偶者の死などライフイベントによる生きる意欲の喪失
(3)認知症、精神疾患、アルコール問題などによる認知・判断力の低下
(4)世間体、遠慮、気兼ねによる支援の拒否
(5)サービスの多様化・複雑化による手続きの難しさ
(6)家族からの虐待による生きる意欲の喪失
(7)家族を介護した後の喪失感や経済的困窮
(8)介護者が高齢あるいは何らかの障害を持っている場合
(9)経済的困窮
(10)引きこもりからの移行などが挙げられます。

これは誰にでも起こりうることでないでしょうか?

積極的に自分を傷つけるわけではないのですが、自分の管理を放棄してしまうことにこの問題の恐ろしさがあります。それはつまり、命に関わる病気の治療もせず、金銭の管理も行わなくなってしまうことを意味します。その行きつく先は、自宅内での孤独な死去や生活ができなくなっての失踪・自殺…

こうした状況に陥るのは高齢者だけではありません。若者であっても可能性はあるのです。

たとえば『ごみ屋敷』は近隣に迷惑をかけることが多いので良く知られていますが、その原因が『セルフネグレクト』かもしれないということは知られていないのではないでしょうか。

○解決するには

長い期間をかけてその状態に至った人たちに、セルフネグレクトだと自覚してもらうことは、極めて難しいことです。家族であっても、責めたり説得したりすることでかえって反感をかってしまい、「今後一切自分に関わるな」と言われてしまうこともあります。

大事なのは、現実に目の前に起きていることで困っていること、あるいは望んでいることを聞くことです。「寒くて眠れないときがある」「体がかゆくて気になる」などの思いを聞いて、現状の問題を改善する方向に結びつけていくのです。また、一度は正常な生活を取り戻せたように思えても逆戻りすることも多いそうです。しかし、絶対に治らないわけではありません。

社会から孤立した人がいます。まずは興味をもち、知っていくことが必要です。そうすることで、自分自身や身近な人をこの問題から遠ざけることもできるかもしれません。

 

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「セルフネグレクト」とは ごみ屋敷・孤独死・ゆるやかな自殺

 

セルフネグレクトとは・・子供や介護が必要な高齢者に対してではなく、自分のことを放棄してしまうことです。

もっと詳しく言うと、「成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと」とされています。
※本人の意思による場合と、認知症などで判断力が低下する場合の両方を含みます。10年ほど前から医療・福祉の分野で研究テーマになっているようです。

そんなセルフネグレクトの特徴は以下のようなことが挙げられます。
(1)身体が極端に不衛生
(2)失禁や排泄物の放置
(3)住環境が極端に不衛生
(4)通常と異なって見える生活状況
(5)生命を脅かす自身による治療やケアの放置
(6)必要な医療・サービスの拒否
(7)不適当な金銭・財産管理
(8)地域の中での孤立

簡単にまとめると、『お風呂に入らない』『掃除をしない』『病院に行かない』『適切な食事を取らない』ということでしょう。

 

それが最もわかりやすくのがごみ屋敷です。

ごみ屋敷

 

家族や職を失ったことによる過去への執着心や孤独感が原因でゴミを集め、捨てられなくなった結果、さらに周囲と距離ができてしまいます。
普通の生活ができないあまりに、人としての尊厳を失ってしまい、親族や近隣住民から孤立してしまうのです。

 

 

映画「アントキノイノチ」 遺品整理をテーマとした作品です

アントキノイノチ

アントキノイノチ - Yahoo!映画

 

今回は「アントキノイノチ」の紹介です。
元はさだまさしの小説ですが、それを原作とした映画が2011年に公開されました。

 

―あらすじ

永島杏平は、高校3年生の頃に親友の山木が学校内の人気者である松井からネットいじめの被害に遭った末、自殺してしまうという過去を持つ。杏平はそのトラウマから高校中退後もうつ病に悩まされていたが、遺品整理の仕事を紹介され、見習いとして働いていくうちに「命」と向き合う現場を体験していく。杏平はその中でゆきという同い年の女性と知り合っていくが、ゆきもまた、人には言えない凄惨な過去を持っていた。

 

私たちがサービスを行っている「遺品整理」をテーマとした作品です。自分自身が携わっている視点で観ましたが、心に傷を負った少年が遺品整理を通じて成長していく姿は非常に印象的でした。

特に、公式ポスターに掲載されているこの言葉は胸に刺さりました。

親友のイノチを救えなかった彼。
かけがえのない人のイノチを守れなかった彼女。
壊れかけた2つの心をつないだのは、
「遺品整理」という
イノチと向き合う仕事だった

 

遺品とは、心と心を繋ぐ絆です。少しでも安心して故人が旅立てるよう私ももっと心を込めて仕事に励もうと決意しました。