3月 2015

違法業者の実態その2 お客様が罪に問われる可能性

 

一般廃棄物の収集と運搬には許可が必要
許可証

もう1つ、落とし穴となっているポイントがこの点です。
遺品整理サービスなどによって発生することになる「一般廃棄物」を収集したり運搬したりするためには、実はその地区の市町村の「許可」が必要であることが法律で決められています。すなわち、許可を受けずにそうした事業を行うことは明確な「法令違反」ということになるのです。

社会的な需要の増加に伴って遺品整理サービスを行う事業者は増加していますが、営業エリアとしている地域で市町村からの「許可」を受けている業者はどの程度あるのでしょうか。というのも、市町村からの「許可」を受けるにはそれぞれの自治体の事情に応じた厳しい基準があり、おいそれと認可されるものではありません。なのに、複数の市町村にまたがって営業エリアを展開している業者は、本当にすべての市町村から「許可」を得ているのかどうか。もし許可を受けずにその事業を展開しているとなれば、明らかに法律に違反することであり、そのような業者に依頼することは無用のトラブルを招くことになりかねません。

たとえば私たちは、福岡県小郡市より「一般廃棄物収集運搬許可」を受けており、「実際に作業を行う場所が小郡市内である場合」に限ってご不要な品物の収集と処分場への運搬を行うことが認められています。その他の地域で作業を行う場合には、その地区で一般廃棄物収集運搬許可を持つ業者にお客様から連絡していただき、私たちが仕分け・整理したご遺品の中からご不要な物をその業者の車両に積み込んで処分場まで運搬してもらう、という手続きを採っています。この場合、私たちから業者に連絡すると「再委託」とみなされて法令違反となってしまう可能性があるためです。

法令を遵守したサービスを行おうとすれば、面倒ではありますがこうした段取りが必要なのです。もしも、許可を受けずにご不用品の収集と運搬を行っている業者があるとすれば、その業者は「廃棄物処理法」という法律に違反している「違法業者」ということになります。
ただし、許可を受けていない地域においてご不用品の収集運搬を行うことのできる例外も存在します。それについてはまた次の機会にお話しましょう。

 

お客様が罪に問われる可能性

次に、前回の記事で少しだけ触れた「悪質な業者のためにお客様が罪に問われる可能性」についてお話ししましょう。

これは、平たく言えばご不要な品物の処分を依頼した業者が、その品物を不法に投棄したことによって、その品物の「排出者=ごみを出した人」が責任を問われる可能性があるというものです。先日の記事で触れた産業廃棄物の処分を名目に余計な金額を請求する業者も悪質ですが、こちらの場合は処分場までの運搬料や処分料を請求しておきながら、実際には処分場に持っていかずにどこかの空き地などに放置することによって運搬料や処分料をそのまま自分たちの収入としてしまうというケースです。

こうしたケースでは、実際に品物をどこかに放置したのは悪質な業者ですが、その業者に依頼したお客様も実際にごみを出した「排出者」としての責任を問われる可能性があるのです。万が一それで有罪扱いとなってしまえば、5年以下の懲役か1000万円以下の罰金に処されることとなります。

そんなことになってしまえば、落ち着きを取り戻したり、故人を供養したりというどころではなくなるでしょう。そんな事態に陥らないために、こうした見落とされがちな点を理解しておくことは重要なことではないでしょうか。

違法業者の実態その1 こうして料金が増やされる

前回お話しした「良い遺品整理サービス事業者」を選ぶうえで注意すべき3つのポイント。
その3点目に、「廃棄物の処理・処分に関して関係法令を遵守しているか否か」を挙げていました。

本日は、それが守られていない違法な業者を見分けるポイントの1つと、そのような業者に依頼することによって、具体的にどのような不利益を被ることになるのか、お話ししましょう。

 

「廃棄物」の定義を知る

まずは、廃棄物という言葉の意味を正しく理解する必要があります。
これを知らないことでどんな不利益につながるかと言えば、業者から本来必要のない料金まで請求されてしまう恐れがあるのです。

 

いわゆる「ごみ」としての意味を持つこの言葉は、厳密には2種類に分けられます。

1つが、産業廃棄物
おそらくニュースなどで一度は耳にしたことがあるものでしょう。

そしてもう1つが、一般廃棄物です。
こちらは、あまり耳にする言葉ではないかもしれませんが、どちらがより私たちの生活に近いかと言えば、一般廃棄物の方です。なぜなら、一般廃棄物とは、一般の家庭から出るごみや、また事業所から出されるごみを総称するものだからです。

逆に、産業廃棄物とは、廃棄物処理法によって具体的に決められている特定のモノのことであり、しかも「事業活動によって生じたごみ」であることが前提となっています。つまり、普通に生活している上で私たちが毎日発生させているごみは「一般廃棄物」であるのです

それは、遺品整理サービスで多量のご遺品を仕分けした際に発生したご不用品も同じです。ご遺品の中でも捨ててしまってよい品物たちは、法律上は「一般廃棄物」という扱いになるのです。

ところが、遺品整理サービスを行う事業者の中には、これらのごみを「産業廃棄物」と偽ってその処分料といった名目で金額を上乗せする業者が存在します。法律的なことにお客様が明るくないのをいいことに、本来なら必要のない金額を請求するのです。しかし先に説明したとおり、遺品の整理も含む日常の生活において私たちが発生させるごみは「一般廃棄物」です。遺品整理サービスにおいて「産業廃棄物の処分料」などといった話が出されたら、「おや?」と疑問に思った方がよいでしょう

次回は、さらに踏み込んで、こうした違法業者によってお客様が罪に問われてしまう可能性についてお話ししたいと思います。

 

 

良い遺品整理サービス事業者をどうやって見分けるか

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前回の内容では、「遺品整理サービス」という事業がどうして必要なのかをお話ししました。それでは、増えてきた遺品整理サービス事業者の中で、「良いサービス事業者」を見分けるにはどのようにすればよいでしょうか。サービスを提供している私たちはお客様に選ばれる側ではありますが、実際にサービスを行っている立場から、どのようなことに注意するべきかお伝えしたいと思います。

 

注意するポイントは3つです。

1つ目に、料金体系は明確であるか否か。
2つ目に、スタッフの対応は誠実か否か。

これらはどんなことを業者に頼むにしても注意すべき点ではありますが、遺品整理サービスも例外ではありません。
この点が不明瞭だったり不誠実だったりする事業者は、作業前や作業後を問わず余計なトラブルを招く恐れがあり、負担を軽くしたいと思って頼んだはずがかえってより大きな労力が必要となってしまうことがあるのです。故人への供養という意味でも、遺族がそうしたトラブルに巻き込まれてしまうことは是非避けたいことでしょう。

 

3つ目に、廃棄物の処理・処分に関して関係法令を遵守しているか否か。

実はこの点が見落とされがちです。不要なものと捨てられないものを仕分けて整理・片づけを行う「遺品整理サービス」は、必然的に捨てるもの=ごみ、廃棄物が発生します。なぜこの点に注意が必要かというと、廃棄物の処理や処分については法律で厳しい制限があり、それが遵守されていない場合にはその行為を行った業者だけでなく依頼したお客様までも罪に問われてしまう可能性があるからです。

負担を軽くしたいと思って頼んだはずがそれどころか罪に問われてしまうような事態になれば、故人を失った心を癒すことも、落ち着いた日常を取り戻すことも全く叶わなくなってしまうでしょう。だからこそ、この「廃棄物の処理・処分に関して法令を遵守しているかどうか」という点は非常に大きな意味があるのです。

この3点目については、次回以降もう少し詳しく説明していきたいと思います。

 

 

遺品整理サービスがどうして必要なのか

最近増えてきた「遺品整理」というサービス。昔はなかったものですが、それがどうして最近になって増えてきたのか、理由があります。

 

遺品整理サービス登場の理由

遺品とは、故人の持ち物のこと。その整理とはつまり、「亡くなった方の持ち物だった様々な物を整理して片づけること」を言います。ここで言う持ち物とは広い意味での「財産」に加えて、思い出や記録にあたるものの他、生活用品や身に着けていたものなど身の回りの品々のことも含みます。少し前までは、通夜から葬儀、四十九日や納骨、といった一連の「亡くなった方への供養」の中に、「形見分け」というかたちで含まれていました。

しかしここ数年、こうした「遺品整理」のあり方は大きく変わってきました。核家族化や離婚の増加、共働きの一般化、単身赴任や独居老人の増加など、家庭・家族のあり方が変化していくようになったからです。

その一方、生活そのものが豊かになり昔よりもたくさんのモノを持つようになったことで、遺された日常的な品々・持ち物・家財道具の量が多くなり、さらに家そのものも無人のまま遺されてしまうなど、「形見分け」もできない状態となってしまうケースが増えてきているのです。

そのため、大量の「遺品」をどのようにして片づけ・整理したらよいのかわからず、「遺品の整理」が遺族の負担になっている様子がうかがわれるようになりました。「遺品整理サービス」とは、そうした社会事情の変化にともなって「遺品整理を専門家に頼む」という需要に応えて登場してきたものなのです。

すなわち、多すぎる品物の片づけ方法がわからない・遠方に住んでいるため時間が取れない、などの事情でどうしても自分たちで片づけ作業を行えない遺族に代わり、多量の品々をひとつひとつ仕分け・整理して、ご不要なものは処分し、捨てがたいものはそのままお渡しすることにより、遺された方々の負担を少しでも軽減する。それが「遺品整理サービス」なのです。

 

実際の遺品整理サービス作業の様子

遺品整理 作業風景1

遺品整理 作業風景2

これは私たちが実際に遺品の整理作業にあたっているときの写真です。大量の品々を細かく整理し、運び出したり、袋や箱にまとめたりする作業にはどうしても人手も時間も掛かります。

各部屋にある細々とした物を仕分けるのも時間が掛かる作業ですし、家具を運び出すには腕力も必要です。さらには、捨てることのできない思い出の品や貴重品がどこかにあるとすれば、それを探すにも時間が掛かります。そうした負荷を私たちのような専門業者が引き受けることで、故人を失った心の傷を遺族が静かに癒していけるだろうと私たちは思っています。

 

「遺品整理」は、これまでの「形見分け」から進化した、新しい供養の形とも言えるかもしれません。