3月 2018

一部の悪質な遺品整理業者を選ばないためには

こんにちは堀川です。
悪質な業者の被害に合わないためにといいましても、正直に申し上げますと、どんな業界でもそうですが、100%悪質な業者を見分けたり、防いだりする方法はありません。
しかしながら、遺品整理という仕事に責任を持って臨んでいる会社は、信頼に必要な目に見えるものを、必ず保有しているものです。

・会社の所在地や連絡先がしっかりしている
・届出を出した個人事業主や会社であること
・遺品整理士資格や古物商などの各種免許の所有
・きちんとしたチラシやパンフレット、ホームページを持っている
・料金や見積もりが明確
・契約書が各種、用意されている
・会社名義の銀行口座を保有している

資格や免許を持ち、本業として営業をしているということは、それだけ、仕事に責任を持っているということに繋がり、チラシやホームページ、契約書を作りこむということは、それだけお客様との信頼関係を築き上げたいという表れだと思います。

ただ、残念なことに、上記を満たしていても、悪質な不法投棄や不当な料金の水増し、詐欺行為を働いている業者も少なくないのが実情ではありますが、一番の手段としては、電話や出張見積もりで、お値段だけではなく、納得のいくまでコミュニケーションを図っていただくことが一番かと思います。

私たちお仕事人はお客様の心に触れる対応を行います。

お焚き上げ供養の本当のところは・・・

こんにちは堀川です。
お焚き上げ供養を依頼したはずが・・・
実は、市や消防に「お焚き上げ供養」の施設として正規の届出をしているお焚き上げ業者は少なく、施設を持たない遺品整理業者にとっては、信頼できる正規のお焚き上げ業者と提携することは、本当の意味で供養をおこなうためにも、絶対に必要なことです。
ただ、現状では認可を受けたお焚き上げ施設は少なく、しかしながら、遺品整理業者や片付け業者の中には「お焚き上げ供養もおこないます」という看板を掲げながら、実際には、供養も何もおこなわずに処分している悪質な業者も少なくありません。
お焚き上げ業者さんから聞いた話なのですが、あるお客様から電話で問い合わせがあり、「〇〇〇〇という遺品整理屋さんにお焚き上げ供養を頼んだら、そちらに持ち込んで供養すると言われたのですが、もう供養は終わりましたでしょうか?」と言われ、早速、持ち込まれた遺品の名簿を確認したところ、どこを探しても、このお客様の名前が無い。
しかも、〇〇〇〇という業者の名前も分からないため、お客様に「残念ですが・・・お客様の遺品はお預かりしていないのですが・・・」
と伝えたところ、非常にお客様は悔しそうに「嘘をつかれたことより、あの業者に遺品をどう適当に処分されたのか・・・」と仰られたそうです・・・
このお客様は亡くなられた奥様の遺品をお焚き上げ供養しようとしたらしく、故人との想い出の品である遺品を、このように粗末に扱う業者は言語道断ですが、実際のところ、本当に供養がされたのか確認することができず、お客様の目が届かないことも事実です。
私たちお仕事人ではお焚き上げの施設を持たないため、お世話になっているお寺から、供養後に「ご供養証明書」に判をいただきお客様へお渡ししています。
ご希望があれば供養時の写真を後日お送りするなどできる限りお客様へ寄り添った対応を心がけています。

その遺品処分、本当に任せて大丈夫ですか?

こんにちは堀川です。
遺品整理を行っていると色々な話を聞くのですが、大切な遺品まで処分されてしまったケースがありました。
一般的な片付け・処分業者と遺品整理業者の大きな違いは、”不用品を捨てることを目的”とするか、整理をしながら、”遺品を発見していくことを目的”とするかで異なってくると思います。
お客様から聞いた話なのですが、親戚の方が、故人の遺品整理のために、色々な業者の見積もりから、一番値段が安い、片付け業者に家の中の物の処分を依頼したそうです。
依頼したお客様も、何があるか分からないので、業者に一任するということで、遺品整理をお願いしたらしいのですが、その業者は捨てることを前提とした業者で、「めぼしい遺品は特に残っていなかった」と言って、家の中の物すべてを持ち去ったそうです。
しかし、後日、故人の近しい友人の方から、生前の話を聞いてみると、思い出の写真がたくさん入ったアルバムがあったり、何かのときのためにと、現金をヘソクリとして隠してあった・・・
などと、話の限りでは、「遺品が何も無い」とは思えない状況だったそうで、その後、クレームを入れたそうですが「一任しておいて、文句を言うな!」と一喝され、遺品としてあったかもしれない物が戻ってくることはなかったとのことです。
確かに、我々でも見つけられない遺品はあると思いますが、明らかにちょっと見れば分かるような思い出の品も「ゴミ」として持ち去ってしまう業者がいて、そんな業者も「遺品整理業」として名乗っているということも実状です。
そして、中には「遺品は無かった」と偽って、金品を持ち去さられ、後日トラブルになるケースもあります。

遺品整理を検討される際は、価格の安いだけではなく、本当にその業者が、遺品整理の仕事の一つとして、遺品という宝物を見つけることを念頭において仕事をしているかということを、しっかりと確認する必要があります。
私たちお仕事人はお見積もりの段階から「探して欲しいもの」、「取って置いて欲しいもの」、「写真やアルバム」をどうするかなどの聞き取りを行い、他にも相続に関係する以下ものを探す必要があるかもお聞きしています。

・印鑑
・銀行の通帳、キャッシュカード
・年金手帳や年金に関する書類
・生命保険、損害保険など加入している保険に関する書類
・土地や家など不動産の権利関係書類
・有価証券、金融資産に関する書類
・貴金属や金塊など資産価値の高いもの
・健康保険証、運転免許証、パスポート
・電気、水道、ガスなど公共料金の領収書、ならびに請求書
・電話、インターネットの領収書、ならびに請求書
・借入金に関する書類、契約書、証文など

また、時間はかかるのですが、できる限り立会いをお願いし、コミュニケーションをとりながらその場で必要なものか不要なものかを判断を仰ぎます。
なによりもお客様が納得できる心に触れる遺品整理を目指します。

不法投棄業者を選んでしまうと依頼者にも罰則が

不法投棄ごみ

こんにちは堀川です。
今回は違法業者による不法投棄にご注意というお話です。

悪質な違法業者

遺品整理業でなくとも、回収した不用品を人目のつかない場所へ不法に投棄してしまう業者は少なくありません。
せっかく色々な気持ちを持って遺品の整理を依頼したはずが、その行き先が不法投棄であったとすれば非常に悲しいことです。

不法投棄の事実が発覚して逮捕などの処分を受けてもほとぼりが冷めた頃に違う社名で同じ仕事を始め、何事も無かったかのようにまた不法投棄を繰り返すという極めて悪質な業者も中には存在します。

違法業者の不法投棄で依頼者も罪に問われる可能性

ここで注意しなければいけないのは、不法投棄をおこなった業者だけではなく依頼したお客様も罪に問われる場合があるということです。もしそうなってしまったら、廃棄物処理法違反による5年以下の懲役若しくは1000万円の罰金が課せられてしまうことになります。

依頼した業者が”無許可や不法投棄をおこなったことを知らない場合でも適用”されるというのがこの件の恐ろしいところ。ごみ、廃棄物の処理を委託する場合は、頼む側も同等の責任を負うことが義務付けられているのです。
(飲酒運転のように、飲ませたほうにも責任があると判断されるのと似ていますね。)

違法業者を見極めるためには

とはいえ、実際に遺品整理を依頼した際、回収された遺品がどのように処理されるかをお客様側で完全に把握することは難しいでしょう。そのため、依頼しようとしている業者が本当に信頼に値するかどうかを見積もりのときに見極める必要が出てきます。

なによりのポイントは、その業者が「一般廃棄物の収集運搬許可」を持っているかどうかということ。一般家庭から出るごみを収集して処分場まで運搬する場合は、市町村の一般廃棄物収集運搬許可が必要というのが法律上の規定です。それゆえ、その許可を持たないのに運搬を行えばそれはもう違法業者。違法業者に遺品整理を依頼したら、その先どんなことが起こりうるかというのは想像に難くないでしょう。

これは産業廃棄物収集運搬の許可や古物商をもっていても変わりません。遺品整理によって家庭から出るごみと産業廃棄物とは法律上の扱いが異なるため、産業廃棄物の許可を根拠に家庭からのごみを収集運搬することは、やはり違法となるのです。

但し、一般廃棄物の収集運搬許可を持っていない業者でも市町村が許可する場合に限りお客様同乗での運搬なら可能であったりといった特例もあります。

そういう知識があり、且つそれを問合せ時や見積もり時にきちんと説明できる業者を選択することがリスクを回避する方法の1つだと思います。

特殊清掃とは絶対必要だが無いほうがいい仕事でもある

蒲原です。

特殊清掃サービスの作業をおこなってきた後には、いつも精神的に不安定な気持ちになります。
現場の様子から見えてくる故人の生活ぶりや死に際のご様子、ご遺族の動揺した様子など、重たい感情をどうしてもその場だけで処理できずに家まで引きずってしまうこともしばしばありました。

 

特殊清掃後に沸きあがってくる感情

自分でも特に引き摺ってしまったなと思うのは、先日ご紹介した20代男性が自殺した現場でのことです。

自殺した故人の部屋で、体液で汚れてしまった品物の中から遺品を探そうとするご遺族2人の姿を見て故人に対する怒りさえ覚えてしまった私。

ご遺族2人がお帰りになった後、片づけをしていた私はその怒りが少しずつ大きくなっていくのを感じていました。

ご遺族に感情移入しすぎたせいなのか、故人にも彼なりの事情や考えがあっただろうとは思いつつ、ご遺族のいたたまれなさを想像してのやるせなさがあふれてきて、ご遺体のあった部屋で片づけをおこないながら1人で故人への怒りをつぶやいていました。

「あんなに大切に思ってくれている家族がいながら、どうして自殺なんかしたのか」
「あんなに大切に思ってくれている家族がいるのに、どうして頼れなかったのか」
「あんな優しそうなお母さんにあんな悲しい顔をさせるなんて」
「あんな明るそうな妹さんにあんな沈んだ顔をさせるなんて」

何の事情も経緯も過去も知らない私ですが、目の前で見たご遺族2人のあまりにも悲痛な様子に、今振り返れば自分でもおかしいと思うくらいの怒りを抱いてしまっていました。おそらくは、ご遺族に対して何もできなかった自分のやるせなさを故人への八つ当たりに転化してしまっていたのでしょう。

片付けと後始末を淡々とおこないながら、口からは故人を責めることばかり出てきて、1人声を荒げてしまっていました。

ご遺体の見つかった現場で、1人で怒りの声を上げながら片付け作業をしている。
傍から見れば異様な光景だったのではないかと思います。

しかし当時の私はそれも気づかないほど主観的になってしまっていました。

 

特殊清掃という仕事の性質

しばらくして我に返りましたが、その日は帰宅した後もどうにもやりきれない悶々とした気持ちのままだったことを覚えています。

似たような状態には、今でもなりかねません。

特殊清掃のご依頼をいただく場合というのは、ご遺族にとって望まない形でどなたかが亡くなっていることがほとんどです。
亡くなったご本人の事情については何もわからないままにご遺族の辛そうな様子だけを目にすることになるため、やるせない気持ちがどうしても湧き上がってきてしまいます。

自分が口出しをすることではないのだと割り切ろうとしても、あの20代男性の自殺現場ではとてもそれができない状態になってしまいました。

例えるならば、精神的に不安定になってしまった方のカウンセリングをおこなうような精神科医の方と似たようなものでしょうか。
相手から伺う話に気持ちを引き摺られて、自分自身も不安定になってしまう場合があると聞きます。あの時私に起こっていたのはそれと同じようなことだったのではないかと思います。

特殊清掃サービスとは、現代の社会情勢上どうしても必要な仕事・サービスであると同時に、無いなら無いほうがいい仕事でもあります。
矛盾するようなこの性質を強く感じながら、日々仕事にあたっています。

遺言とは想いを表すもの。

遺言2

こんにちは堀川です。
終活に関する記事としては前回で一区切りなのですが、今回は「遺言」についてもう少し詳細に見ていきたいと思います。

 

遺言の内容

遺言では大きく分けて、次の3つの事柄について決めることができます。

身分に関すること

相続人に関しての認知や後見人、後見監督人の指定のこと。

相続に関すること

相続人の指定や相続人の廃除と取り消し、遺産分割の方法、遺言執行者の指定などのこと。

財産処分に関すること

相続人以外に遺産を遺贈したり、寄附したりするなどの行為を指定、信託の設定などのこと。

遺言書を書いたのにそれが発見されない場合、意味がなくなってしまいます。せっかく遺言書を残すのなら、できれば信頼できる誰かにはその存在を伝えておくことをおすすめします。

 

遺言書の書き方

自分で遺言書を作る場合の注意点としては、以下のようなポイントがあります。

①遺言者が、自筆によって全文を書き、署名、日付、押印をしなければならない。

②修正箇所がある場合、遺言者がその変更場所を指示し、変更したことを付記して署名、押印しなければならない。

③署名は同一性が認められるならば、通称やペンネームで構わない。

④押印は実印でなくても構わない。

⑤パソコンなどで作成しプリントアウトしたものは無効。代筆の場合も同様。

 

遺言書作成時の注意点

日付は作成した日の年月日まできちんと書きましょう。内容を修正する場合、簡単なものならば上記の方法で構いませんが、大幅に内容を修正したい場合はできるだけ書き直した方がよいでしょう。

遺言書を複数作った場合は、日付の一番新しいものが有効になります。用紙や筆記具に決まりはなく、鉛筆書きでも認められます。

ただし、後から修正できないようペンや万年筆で書く方がよいでしょう。封筒には入れなくても大丈夫ですが、できれば封筒に収め、表にも「遺言書」と記しておくとご遺族が見つけ損なう恐れも減るかと思います。

遺言と聞くとかしこまったり、難しく考えてしまいそうですが、残された遺族の方への最後のメッセージとなるものです。
亡くなった後にどうして欲しいのか、また家族への想いをしっかりと遺しておきたいものです。

終活の必要性その3―遺言って色々な書き方があるの知っていますか?

こんにちは堀川です。
終活に関する記事の3回目となる今回は、遺言についてのお話です。

遺言
 

遺言にはいくつかの種類がある

遺言は大きく分けると2つの種類があります。

1つは口頭で伝えられたり、前回の記事で触れたエンディングノートなどの非公式な書面や電子媒体などに残されたりしたもので、法的効力を持たないもの。

もう1つは正式な遺言書として作成され、法定遺言として法的な効力を持つものです。
この法定遺言はさらに3つの種類に分かれ、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、が存在します。

それぞれの特徴をまとめてみました。

1.自筆証書遺言

本人が全文、日付、氏名をすべて直筆で記入し、押印するもの。ワープロや代筆は不可。

費用:ほとんどかからない。
証人:不要
検認:必要
メリット:
・誰にも知られずに作れて、作り直すのも簡単。
・費用がほとんどかからない。
デメリット:
・書き方の不備で無効になることがある。
・変造や偽造をされる危険性がある。
・遺言書が発見されない場合もある。

2.公正証書遺言

公証役場で証人立ち合いのもとで遺言の内容を公証人に口述し、公証人が遺言を作成するもの。

費用:相続財産額に応じて発生する。証人を専門家に依頼する場合は報酬が別途必要
証人:2人以上必要
検認:不要
メリット:
・内容が明確で、方式の不備で無効になる恐れがない。
・紛失しても再発行できる。
デメリット:
・費用が高い。
・遺言があることや内容を秘密にできない。

3.秘密証書遺言

本人が遺言を作り封印し、公証人らとともに本人が書いた遺言書であることを証明する手続きをするもの。

費用:公証役場の手数料11,000円(定額) 証人を専門家に依頼する場合は報酬が別途必要
証人:2人以上必要
検認:必要
メリット:
・遺言があることは明かしながら内容は秘密にできる。
・公証役場に提出するので、作成日が特定できる。
デメリット:
・証人、検認が必要
・遺言の要件を満たしていないと無効になる可能性もある。

 

遺言を作成する際の注意点

遺言を残す場合は遺産分割の際のいざこざの原因にならないように法定遺言を作らなければいけませんが、その内容にただ結論が書かれているだけであれば、分割をめぐって親族がギスギスした関係になりかねません。

それを避ける意味でも、なぜそのようのに遺産分割をしてほしいのか、自分の思いや理由をエンディングノートに綴ったりして非公式な遺言も残しておくとよいでしょう。ただし、2つの遺言の内容が矛盾しないようにしておかないと、さらにトラブルの種となるので注意が必要です。

終活の必要性その2―エンディングノートの書き方。

こんにちは堀川です。
前回から「終活」についての記事を書いていますが、その続きです。

今回は、終活でやるべきことの2つ目として、「エンディングノート」のお話をいたします。

エンディングノート

エンディングノートとは、その名の通り「自分自身のエンディング」について記すためのノートです。終活の考え方が広まるにつれて、それを過不足なく進めていくためにエンディングノートというツールが誕生したのです。
今では、文房具やオフィス用具で有名な「コクヨ」からもエンディングノートが発売されているほど、世間に浸透してきました。

エンディングノートの内容

エンディングノートには、概ね生前(主に医療・介護・財産管理)や死後(葬儀・遺産相続)についての希望や、「自分史」を書き込む欄が項目ごとに設けられています。高齢期に備えるべき事項が網羅されているので、終活をはじめる第一歩として記入しておけば、具体的に終活をどう進めていくのかの道標になるでしょう。

ただ、手軽に始められる反面、書き込む欄が多すぎて途中でやめてしまう人も中には多いようです。一度に全部仕上げてしまおうと考えず、できるところから少しずつ書き込んでいくくらいの心持ちで取り組んでいくのがいいと思います。また、葬儀やお墓などについては自分だけで決めてしまうと後で揉め事の原因になりかねませんので、周りの人と相談すべきことはしっかり話し合ってから記入するようにしましょう。

エンディングノートの効力

しかしながら、エンディングノートには法的効力はありません。もしもの時にトラブルが生じないようにするには、別に財産管理のための契約や任意後見契約などを検討する必要があります。同様に、遺産相続について希望がある場合は、ノートに書いた内容をもとに、公証役場などで正式な遺言書をつくると安心です。

終活は元気なうちに余裕をもって進めると、きっと楽しいものになると思います。「まだ早い」と思える今が、始め時です。まずエンディングノートを手に入れてみてはいかがでしょうか。

終活の必要性その1―死後に秘密を知られないために

日記

こんにちは堀川です。
今回は、最近ブームも起こってきている「終活」についてのお話です。

終活の意義

終活とは、死をきちんと迎えるための準備をすることで、生きている今の時間をより大切にできるようになる前向きな活動ですが、それは自分の死後に家族に迷惑をかけないようにするというためだけのものではありません。
自分自身のためにも大いに意味があるものです。

たとえば、可能なら家族にも知られたくない事実を持っている人は大勢いることと思います。秘密なんて無いに越したことはありませんが、人間であれば誰しも秘密の1つや2つあるものです。
それを亡くなった後に家族に知られてしまわないためには、またそれによってトラブルを起こさないためには、”準備”が必要になってきます。

それもまた、近年言われるようになった終活の側面の1つです。桃太郎侍で有名なあの高橋秀樹さんも終活の”断捨離”として家具などを4tトラックで8台分も処分されたのは有名な話。
いずれ必ずやって来るものを心置きなく迎えるために、終活は非常に意味のあるものなのです。

終活でやるべきこと

そこで終活でやるべき5つのことを紹介したいと思います。

1.生前整理をする
2.エンディングノートを書く
3.遺書を書く
4.葬儀やお墓の希望を伝える
5.介護、延命治療、献体などの事を決める

4. と5. については今回は置いておいて、3. までを順に説明していきましょう。

まず、1つ目の生前整理についてです。

自分が亡くなった後に、トラブルを起こさないためには生前整理が一番重要になってきます。
遺品整理と違って、生きている間に自分の持ち物を整理する生前整理。自分の秘密に関わるものも一緒に片付けてしまうことで、死後のリスクを低下させることができるのです。

亡くなった後であっても見られてまずいモノや、トラブルになりそうなモノはしっかり整理をして、捨てる決断をしましょう。
また、もしそれがスマートフォンやパソコンのデータである場合は、パスワードを設定しておけば家族に見られることはありません。しかしこれを実行した場合、遺族の立場からは「デジタル遺品」となってしまうため、また別の手間が発生してしまうことになります。

とはいっても、見られて困るもの(こと)はしないのが1番ではあるのですが。

最近では大杉漣さんが突然亡くなったように、死はいつ訪れるかわかりません。他人に見られたくないモノがある方は早めに手を打っておきましょう。
みなさんも、自分が亡くなった後に都合の悪いモノがでてくる心配はありませんか?
死後に自分が恨まれてしまったり、家族が恨まれてしまったりするのは辛いことです。

そうならない為にも、もう一度ここで終活及び生前整理の重要性を認識しておくことをおすすめします。
墓まで持っていきたい隠し事がある方はは、終活でしっかり対処しましょう。
死後に、トラブルや修羅場を起こさないこと、そして親族の負担を軽くする為にも早めに行動を起こすのが賢いと言えるでしょう。

 

2. のエンディングノートについては次の記事で説明いたします。

残置物で埋もれるごみ屋敷と、それでも浮かぶ故人の暮らし

ご遺品の整理…というより、残置物の撤去と清掃と言った方がより正確な表現のように思える現場も時々あります。

一般の人が通常想像する「遺品整理」と違って、ごみ屋敷のようになってしまっているお部屋のごみをひたすらに撤去していく作業です。

残置物で埋もれるごみ屋敷

残置物_修正有

こちらの写真のお宅がまさにそのような状態でした。
集合住宅ではなく一軒家のこちらのお宅。高齢になってからの故人はセルフネグレクトのような状態で身の回りの掃除や片付けなど一切しなくなり、そのまま亡くなってしまったとのことで、後にはこの残置物だらけの家が遺されてしまいました。

ご遺族から相談を受けた不動産会社からのご依頼でしたが、とにかく凄まじい状態でした。
一軒家の全ての部屋が画像のような状態で、うずたかく積み上げられたごみの山は部屋の天井まで届いており、キッチンもトイレも、果ては押入れの中さえもあらゆるごみでいっぱいでした。

これだけのごみの量があると、とても1日で片付け終わるものではありません。スタッフ3人から4人がかりで3日掛かって、ようやくすべて片付けることができました。

ご遺族からは「家と土地の権利書がおそらくあるはずだから見つけたら保管しておいて欲しい」とのご相談もあり、それもどうにか見つけることができました。
大量のレジ袋やお酒とジュースの空き缶空き瓶の中から時折出てくる封筒やカバンをしらみつぶしにひっくり返してようやく見つけた時には安堵したものです。

残置物からも窺える生前の故人

身長よりも高く積みあがるごみの山を前に途方に暮れていたというご遺族にも喜んでいただけたことは、疲労した私たちに充実感を与えてくれるものでしたが、しかしそれにしても気になるのは、故人はどうしてこんなになるまでごみを溜め込んでしまったのかということです。

ご遺族も故人の詳しい生活の様子はご存じなかったらしく、おそらくはセルフネグレクトだったのだろうと想像することはできても、そこから先はわかりません。

大量のレジ袋に詰められたごみはコンビニ弁当やインスタントラーメンばかりで、自炊していた様子は全くありません。お酒もジュースもどちらも好きだったのか、日本酒の一升瓶や空き缶も多く転がっていました。

その中で妙に印象に残っているのが、ファンタのジュースです。
厳密に数えたり比較したりしたわけではありませんが、片付け作業をしていた中で、どうにもファンタの空き缶が出てくる頻度が多いように感じられたのです。

グレープジュースもオレンジジュースもどちらも多く出てきましたので、味の種類に好みがあったわけではなさそうです。ただ、ファンタのジュースが好きだったということでしょうか。

天井まで積みあがるごみの山は非日常のような光景ですが、故人のこうした些細な好みのようなものが想像できると、途端に身近に感じられて悲しさがこみ上げてきます。
こんなことになる前に、何とかしてあげることはできなかったのか…

残置物でいっぱいのお宅に伺うたびに、いつもそう思ってしまいます。