6月 2018

遺品整理をすることで気持ちが落ち着くこともあります

キッチンにずっと故人がいるかのように感じていたのが、遺品整理をしたことでその感覚が解消されたというご遺族がいらっしゃいました。

故人はとても料理好きだったらしく、キッチンは故人がいつも使っていた状態のまま、その人も日々使っていたそうです。
しかし、故人が使いやすく配置・整理された状態のキッチンに立っていると、どうしてもふとした拍子に故人を思い出すことが多くあり、ずっと気持ちが晴れないままでいたというそのご遺族。

このままではいけないと感じ、思い切って故人の遺品を整理することにして、キッチンに遺っていた故人お気に入りの調理道具などを片付けたところ、それまでキッチンの中に故人の存在を感じていたのがぱったりと消えてしまったそうです。

これは、「その人」が使いやすいような状態に保たれたままの場所ではどうしてもその存在を思い出してしまったり、あるいはそこで元気だったころの「その人」の影が見えてしまったりすることによる気持ちのモヤが、遺品整理をしたことで解消されたのだと思います。

遺品整理とは急ぐものではなく気持ちが落ち着いてからおこなっても遅くないというのが私たちの基本的な考え方ですが、このように気持ちが落ち着いたから遺品整理を行なうのではなく、遺品整理をおこなうことで気持ちが落ち着くということもあるようです。

ずっと気持ちが晴れないまま時期を待つのもいいですが、思い切って遺品整理をおこなってみる、あるいは自分でおこなうのが難しいようであれば専門業者に相談してみるというのも選択肢の一つとして有効なのだと思います。

特殊清掃―ご遺族の心と故人の魂に寄り添えるように

こんにちは堀川です。
今回は特殊清掃のサービスをおこなうにあたって、私がいつも思っていることを書きます。

 

「死」は誰にでも平等に訪れるものという言葉があります。
ただそれがいつなのかは誰にもわかりません。

当社にご依頼いただく特殊清掃の案件は、心臓に関わる病気で亡くなり、そのままになってしまっていた場合が多くあります。

「立ち上がろうとした時」や「廊下を歩いていた時」などその場面は様々で、警察がご遺体を運び出した後であっても、その「痕跡」から倒れられた時の様子が窺えます。

清掃作業に入る際には故人に対して必ず合掌をさせていただくようにしていますが、手を合わせている間には色々な気持ちが湧き上がってきます。

一人きりで亡くなっていたことへの寂しさ、もっと早く発見することができなかったのだろうかという現代の風潮に対するやるせなさ、それでも今の時点でようやく発見されたことへの安堵など…。

第三者である私たちでさえそうなのですから、ご遺族はなおのこと色々な気持ちでいっぱいになっていらっしゃるでしょう。

私たちがきちんと特殊清掃業務を行うことで、それらのお気持ちを少しでも和らげられればとずっと思っています。

ご依頼をいただいたからにはご依頼者の心に触れ、寄り添う気持ちで仕事をさせていただいていますが、私は作業をしている間、まだそこに故人の魂が留まっているように感じています。
もちろん私がそう感じるだけで、周りから見ればそこはなにもない空間でしかないのですが。

この仕事をしていると合理性や論理を超えたものがあることはよく感じますので、そこに魂がまだ残っているかもしれないというのも一概に否定したくないなと思っています。
ですので、ご遺族のお気持ちだけでなく、まだそこにいらっしゃるかもしれない故人にも寄り添うつもりで特殊清掃業務をさせていただいています。

そして、特殊清掃の業務が終わると急に家族や親戚のことが心配になるのもいつものことです。
出来るなら、私たちが特殊清掃をする必要がないようなつながりのある未来になって欲しいものです。