2月 2019

お墓を持たない時の供養はどうするか③

散骨

 最も有名な散骨は、海に遺骨をまく海洋散骨です。海洋散骨は、海洋葬と呼ぶ場合もあり、近年では多く行われるようになっています。海のほかに、山や空に遺骨をまく散骨の方法もあります。散骨する際には、遺骨を2mm以下の粒状に砕く、粉骨を行なう必要があります。散骨の業者に依頼すると、粉骨も行なってくれるので安心です。散骨による供養は、墓石だけでなく墓標そのものをいらない、自然に還る意義に重きを置きたいという方に向いています。なお、遺骨を無断で山や海へまくことは法律で禁じられています。散骨が認められている場所のみで行なうことができます。

デメリット 
 散骨のデメリットは、もしやはりお墓を建てたいと考えた場合に、肝心の遺骨が手元になくなるといった点です。また、散骨できる場所が限られるという点もデメリットとして挙げられます。市町村によっては、条例で散骨を禁止している場合もあるそうです。

手元供養

 多くの場合、遺骨は墓地や寺院などで埋葬し供養しますが、埋葬の必要性が法律などで規定されているわけではありません。手元供養は、自宅供養とも呼ばれ、近年人気の供養法となっています。手元供養とは遺骨を自宅で管理し供養する方法です。通常の場合、遺骨は骨壺に納められたうえで白木の箱に入れられます。この箱は白い風呂敷で包むのがしきたりです。手元供養では、白い風呂敷で包んだ箱をそのまま自宅に安置しておく方法と、改めて保管用の骨壺に遺骨を移して安置する方法があります。ただし、自宅の庭などに遺骨を埋めることは法律で禁止されているので、絶対にしてはいけません。手元供養で用いる保管用の骨壺は、凝った意匠がされていることが多く、そのまま部屋に置いても違和感がありません。また、遺骨をオブジェの形にして自宅で供養することも可能です。以前は手元供養という用語自体がありませんでしたが、ここ10年ほどで一般的になりました。さらに、自宅に遺骨を置いて供養するだけでなく、ロケット型のペンダントなどアクセサリーの中に遺骨を入れて身に着ける方法もあります。手元供養では、お墓を建てる費用がかからないだけでなく、供養のためにお墓参りに出向く必要がありません。また、自宅に遺骨を置いておくことで、故人の存在を常に身近に感じることができます。特定の誰かに遺骨を大事にしてほしいという方に向いています。

デメリット
 手元供養のデメリットとしては、遺骨を破損・紛失するおそれが挙げられます。遺骨を手元に置いておくメリットが、そのままデメリットに変わる恐れがあると言えます。

お墓を持たない時の供養はどうするか②

本山納骨

 仏教の各宗派では、古くから信徒の方向けに本山に埋葬する仕組みがあります。
それが、本山納骨と言われる供養方法です。本山納骨とは、宗派の本山または本尊で合祀してもらう納骨の方法です。全てのお骨を納める場合と、分骨して一部のお骨を納める場合があります。特定の宗派を持つ、信心深い方に向いています。本山納骨についての詳細は、各宗派の本山に問い合わせできます。

樹木葬

 樹木葬とは、法律に基づいて許可を得た土地に遺骨を埋葬し、墓石の代わりに墓標として樹木を植える供養の方法です。樹木葬は、日本では1999年から行なわれるようになりました。樹木葬では、粉状に砕いた遺骨をそのまま土にまいたり、紙袋や布袋に入れて土に埋めます。遺骨を入れた紙袋や布袋は、長い年月のうちに自然に土に還ります。肉体の魂が大地に還るという意味で、樹木葬は近年注目を集めています。樹木葬の墓地では、ほとんどの場合で宗旨や宗派が問われることはありません。また、清掃や日頃の供養などは管理団体が行なってくれます。従来の墓地や霊園に比べて樹木葬での墓地は施設が簡単なため、費用が安く済むことも魅力です。植えられる木は桜やモミジ、ハナミズキなどさまざまで、自然志向でお墓はいらないという方に向いています。

お墓を持たない時の供養はどうするか

 もしお墓を持たない・墓じまいすることにした際に供養はどうなるのか考えてみたいと思います。

お墓を作らず供養する方法は5つ

 1.永代供養墓
 2.本山納骨
 3.樹木葬
 4.散骨
 5.手元供養

一つずつ見ていきましょう。

1.永代供養墓

 永代供養墓は、子孫がいない・経済的理由・遠方などにより個人のお墓がない人がお寺に供養を任せる方法です。
 遺骨を埋葬する方法は、合祀墓の形や納骨堂の形などがあり、お墓参りできない人に代わり、お寺の住職さんが責任を持ってお墓の管理や供養をしてくれます。お寺によって異なりますが、毎年春彼岸やお盆、秋彼岸などに合同供養を行ってくれます。お骨は他のご家族の方と一緒の納骨堂に入ることが多いですが、墓誌や帳簿に名前を刻字してもらえます。個別供養は三十三回忌や五十回忌の時期までを期間として設定して、その後は合同供養に切り替える寺院や霊園が多いようです。

メリット
永代に渡ってお寺に供養してもらえる安心感ががあります。また、後継者の心配もいりません。

デメリット
永代供養墓では、最終的にほかの方々と合同の形での納骨となります合同の納骨となると、遺骨を取り出すことはほぼ不可能です。

お墓を持たない方が増えている理由

いつもご覧いただきありがとうございます。
遺品整理士の堀川です。

今回はお墓を作らない方が増えていることについてお話します。
なぜそのようなことになるかというと少子化や非婚化が進む流れの中、維持や管理に負担がかかる点が考えられます。また、お墓について考えることは、終活のなかでも大きな位置を占めるテーマです。

 古くから、亡くなった方の精神の魂は天に還り、肉体の魂は大地に還ると言われてきました。肉体の魂とはお骨を指すので、遺骨を納めるお墓にはとても大切な役割があります。なのでお墓には、亡くなった方を供養し、感謝の気持ちを込めてご先祖様と対話する役割も含んでいます。

 そんななか現代では核家族化と少子化が進むにつれ、お墓はいらないと考える人が増えてきています。お墓の維持管理や後継者に関する問題から自由になろうという考え方です。ただそれだけでなく、仕事の都合上遠くに住んでいたり子供達もいるので、お墓を建てても苦労をかけてしまうと考える人が多くなりました。

またお墓を新たに作ろうと思っても、経済的にお墓を建てられないという人も増えています。
お墓自体の値段で安くても100万円以上かかります。設置・工事費や管理料も含めるとお墓を建てるまでに全国平均で200万円以上かかります。

また、日本には「墓地、埋葬等に関する法律」というものがあり、主に自宅の庭に遺骨を埋めることを禁止し、法律で許可された寺院の墓地や霊園以外は埋葬できないことになっています。ここ数年で、海などに散骨する供養の仕方や、自分の近くにお骨を置いておきたいというお墓なしの考えが浸透してきました。古い法律のため、散骨や手元供養に関しては法律範囲外なのです。

一般的にはルールを守り、節度ある供養の仕方であればお墓が無くても先祖や故人を供養することができます。

孤立への入り口ーセルフネグレクトとはー

 以前テレビをつけると”バンキシャ”という番組で特殊清掃についてのコーナーが設けられており、その中で以前私どもでも紹介したことのある「セルフネグレクト」が地域コミュニティから孤立し、周りとの関係性が希薄になる中で孤独死が増える要因となっていると伝えられていました。

このセルフネグレクトとは
 成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。必要な食事をとらず、医療を拒否し、不衛生な環境で生活を続け、家族や周囲から孤立し、孤独死に至る場合がある。防止するためには、地域社会による見守りなどの取り組みが必要とされる。自己放任。とされています。

 人間関係は希薄になり、何に関しても投げやりになってしまうのです。普通であれば誰もが持つような自分を満たすための欲求も感じなくなり、社会からも疎外されていきます。頑固さも特徴のひとつですが、頑固な人でも自分の好むことは行うものです。生活面で自分を大切にしない傾向があれば、セルフネグレクトを疑ってみる必要があるでしょう。

セルフネグレクトの症状

 セルフネグレクトの症状としてまず顕著なものは、自分のために行うべき身の回りのことを行わなくなるという点です。定期的で健康的な食事をとることもなくなり、食欲自体がないように見えます。

 また、風呂やシャワーといった清潔さへの関心も薄れ、洗濯していない服をずっと着ていることも観察されます。家の掃除も行わなくなり、いわばゴミ屋敷のようになっていきます。同時に、状況を改善するための手助けやアドバイスを頑固に拒絶することも共通している傾向です。このように症状が悪化しても支援を断ることが多いため、悪循環となってしまいます。

 だからこそ早めに気づくことが重要となります。なかなか行政の施策だけでは防げない死というものもあるかと思います。地域コミュニティの地盤強化とつながりが重要です。