2月 2020

遺骨整理~自分での散骨を考える方へ~

遺品整理士の堀川です。

散骨を自分で行いたい方へ、散骨をおこなう場合には条件がありますのでご紹介いたします。

①散骨ができる場所とできない場所

  現在、法律で散骨が禁止されている場所はありません。ただし、各地方自治体が独自に条例で散骨を禁止している場合があります。これらの地域では、自分の土地や土地の権利者が承諾している場合であっても散骨することは条例違反となるので事前に確認を行うなど注意が必要です。

 また、海洋散骨を行う場合も、 海域などについてガイドラインを設けている自治体があります。自治体の条例による散骨への規制は少しずつ増えてきましたが、それら規制の多くは散骨事業者を対象とするもので個人を対象にすることは稀です。とはいえ、個人を対象としていなくてもなぜそのような措置をとっているのか趣旨を良く理解する必要があります。

②綺麗に粉骨する必要がある。

 日本の法律では遺骨をそのまま捨てたり放置すると遺棄罪になりますが、火葬された遺骨を粉骨してから散骨する分には違法ではなくなります。火葬後の遺骨は意外に原型を留めています。粉骨処理によってパウダー化せずにそのまま撒けば、第三者が発見したときに必ず事件化するでしょう。そうならないよう「節度」という意味でも散骨の際は必ず「粉骨」をしましょう。ちなみに祭祀承継者や遺族が葬送の目的で遺骨を粉状にすることは死体損壊罪にはあたりません。粉骨は2mm以下にしなければならないので、自分でできない場合は粉骨のみ代行してくれる会社に相談してみるのもいいでしょう。

③現在は比較的自由に散骨できるが今後はわからない

 現在は比較的自由に散骨できますが、散骨がビジネスとして広がりをみせ、機会の増加から全国各地の自治体に条例が制定されればこの限りではなくなります。逆に考えると、散骨をするなら早めに済ませておいた方が良いのかも知れません。

 ※散骨を行う場合には申請書類もなく役所への届け出は必要ありません。

遺骨整理~散骨の歴史と変遷~

遺品整理士の堀川です。

 さて、今回の内容は「故人が遺すモノ」の中でも特に扱いが特殊なものとなる「ご遺骨」についてのお話です。

お墓に納めるのが一般的だと思いますが、他の扱い方として「散骨」があります。散骨は現代では珍しくなってしまった供養の方法ではありますが、その歴史は古く、平安時代の歴史書にも天皇が自分の遺骨を散骨するよう命じたと記録されていたり、有名な万葉集の中にも妻の遺骨を散骨した際の心情を綴った歌が詠まれていたりします。

 ではなぜ現代で散骨がマイナーな存在となったのかというと、江戸幕府の宗教統制政策として行われた檀家制度によるものが大きいと考えられています。檀家制度によって葬祭供養の一切はそれぞれが属する寺院が執り行うものとなり、常日頃からの参拝や法要などが義務化されていきました。そうして寺院の権限が強化される中で、石造りのお墓に納骨をするという方式が定着していったのです。お盆やお彼岸その他の法要などの行事が確立していったのも、この檀家制度によるものです。

 しかし、故萩原流行さんの奥様が、海が好きだった流行さんの為に海洋散骨を選択し、それを行う様子がドキュメントタリーとして放送されるなど散骨に対する認知も変わってきています。