12月 2020

コロナウイルスと遺品整理

遺品整理士の堀川です。

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。日本国内においても、第三波といわれる感染拡大が起きています。

 新型コロナウイルス感染症は、ご高齢の方が感染すると持病の影響などから重症化する傾向が強いというのは周知の事実かもしれませんが、残念ながら亡くなるという事例も相次いで報告されています。
 国内での感染者数は、4月18日に1万人を超え、高温多湿の夏季には一度落ち着いたようですが、12月1日現在感染者数の累計は15万人に上っています。ただ、回復された方も12万超いらっしゃいますので一概に感染者数の累計をニュースで見て悲観するものではありません。

 しかしながら2千人を超える方が亡くなられている事実があり、非常に悲しいことですが、新型コロナウイルス感染症などの感染症によって亡くなった方は、感染拡大のリスクを避けるため、遺族が対面して最後のお別れをすることすら叶わずに荼毘に付されます。

遺族にとっては非常に辛く、また、非常に悔しいことかと思います。

そして、荼毘に付した後に待っているのは、故人の「遺品整理」です。

ですが、突然訪れた別れの後に遺品整理を…と思っても、何から始めたらいいか分からない方も多いのではないでしょうか?

故人との突然の別れも“対岸の火事”ではない今こそ、遺品整理について考えるきっかけと言えるかもしれません。

遺品整理を行う側が考える安心と誠実

 遺品整理士の堀川です。

 近年、遺品整理業者の数は需要も伴って爆発的に増えており、遺品整理士という民間資格を認定している遺品整理士認定協会の登録企業数も全国で863社(2020.12.3現在)あります。

 遺品整理士認定協会に登録するかどうかは各企業の考え方や方針次第ではあるので、登録していないからと言って遺品整理業が行えないわけでもないですし、悪辣な企業だから登録していないというわけでもありません

 遺品整理士認定協会が創られ遺品整理士の資格認定を始めた理由としては、遺品整理業界全体の法規制の順守や共通認識、マナーを標準化したいという考えからです。

 しかし、この遺品整理士という資格は誰でも取得は可能ですし、遺品整理サービスの質を完全に保証するものでもありません。資格取得の為には、教材を取り寄せ、それについてのレポートを提出し、認定協会の確認ののちに合否が通知されます。どのような遺品整理サービスを行っているのかは合否には関係ないのです。しかし、あまりにひどい内容のサービスの場合は遺品整理士認定協会に連絡することで登録企業に対して注意が促されるようです。

 ただ、先ほどは悪い例を挙げましたが、差別化という意味では遺品整理士資格を持つ他企業と同じことを行っていても自社の評価にはつながりませんし、お客様の目にも留まりません。なのでその会社独自の取り組みがある程度必要になってきます。

 弊社の場合では、お電話でのご連絡をいただくことがほとんどなのですが、その後現地を見せていただき、お見積り中で弊社の行う遺品整理業務の内容や希望日程、その他簡易清掃はいつも行っているのですが、本格的なハウスクリーニングが必要な場合やリフォーム、解体等についてもご希望をお伺いしながらお見積り書を作成します。もちろん必ずしもその場でご依頼となるわけではありません。弊社としましても、手書きでのお見積り書は見栄えの良いものではありませんので、パソコンで打ち直した見積書、工程表、お伺いしたご要望をもとにご遺族様ごとの業務内容の説明書を作らせていただきお送りしております。その内容もご覧いただきご検討いただければと思っております。

 先述しましたが、遺品整理業者は年々増えており、依頼する側からしても依頼しようとしているところがどのようなところなのか、ある程度までしか知ることはできないでしょう。しかし、依頼する遺品整理業者を間違えるとトラブルにつながることは少なくありません。検討に十分はないと思いますので、お時間の許す限りのご検討をおすすめいたします。

孤立死は突然起こる

 遺品整理士の堀川です。

 先日、特殊清掃の業務をさせていただきました。そこは社員寮の一室で、亡くなった原因は持病の悪化によるもののようでした。

  まだ残暑の残る季節の中、亡くなってから4日という短い期間でご遺体が発見されたのは不幸中の幸いと言わざるを得ません。しかし、わずか4日の期間でも気温が高いうちは体の腐食が進み、死臭が発見後4日というのを疑うほどにしていました。亡くなっていたのは和室の角の部分で壁に寄り掛かるようにして亡くなっていたようです。和室で砂壁だったこともあり体液が壁や畳に広く滲んでいてそこでどのような態勢で亡くなっていたのが一目でわかるような状態でした。

 お客様は寮の管理をされている方で、社員寮ということもあり今まで特殊清掃が必要になったことはなかったようです。リフォームはご自分たちで行うとの要望だったため、こちらからご提案したのは、

  汚染個所の体液の除去、全部屋の除菌・消臭、残置物の撤去、砂壁の汚染部分の除去です。

 1日で作業を終える必要があった為、初めに全部屋を除菌・消臭しながら残置物の梱包と搬出を行い、途中から汚染部の体液除去と細部の除菌・拭き取り作業に分かれました。残暑が残る中と書きましたが、やはり防護服の中は暑く、ガスマスクの内側にも汗が溜まり揺れているのがわかります。全体の除菌と体液除去まで終われば防護服を脱いで作業を行いますが、それまでは体に影響を及ぼす菌も浮遊していますので防護服は脱げません。

 亡くなったのは退職された社員の方だったらしいのですが、社員寮という繋がりの中であったとしても病気や突然の不幸などで亡くなった場合、意識していなければすぐ発見につながらないということがわかる事例でした。発見に至ったのは、「いつもは会うのに数日見ていない」との同僚の言葉からだったそうです。