前回の記事で、遺品整理サービスにおいて発生するご不用品は法律上すべて「一般廃棄物」という扱いとなり、それを回収して処分場まで運搬するにはその地域の市町村から与えられる「許可」が必要であることをお話ししました。たとえば私たちは福岡県小郡市に限ってその「許可」を受けており、小郡市以外の場所でご不用品の回収と運搬作業をすることは「基本的には」できないことになっています。
しかし、それが可能となる例外的なケースが存在します。多少面倒な部分はありますが、法律を順守するという当たり前のことを行いつつ、お客様のご要望にできるだけお答えするための方法です。
サービスを行う地域の市町村により、判断が変わってくるのですが、大きく分けてその方法が2つあります。
今回はそのうちの1つをご紹介しましょう。
それは、青ナンバー車両にご不用品を積み込み、お客様もその車両に同乗いただいた上で処分場に向かう、という方法です。
青ナンバー車両とは貨物運送事業法で言う「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のもの」への許可を持つ車両を指します。平たく言えば、お客様の依頼によって貨物を運搬できる車ということです。たとえば代表的なものが引越し屋さんのトラック。お客様の依頼によって、引越しの荷物を新居まで運搬する引越し屋さんは、それに使用するトラックが青ナンバーである必要があります。また運搬する貨物には人も含まれていて、タクシーがそれにあたります。そして、青ナンバーとは引越し屋さんのトラックやタクシーなどに特別につけられる緑色の特別なナンバーのことです。
この青ナンバー(緑ナンバー)を持つ車両を使用して、ご不用品を処分場まで運搬することは、それらの品物を特定の場所まで運搬することをお客様より「委任」されたものということになり、廃棄物処理法で言う「不用品の収集・運搬」とは異なった扱いになります。
これは、サービスを行う市町村で「大量のご不用品を臨時に収集する」ということが行われていない場合に特に実施されるものです。
市町村における定期的なごみの収集日を待たずに不要な物を多量に処分したいという時、市町村にまずは相談してみるのが通常の方法かと思います。そこでそうした要望に市町村が対応できればいいのですが、自治体によってはそのような臨時の収集を行っていない場合があるのです。
ただの片づけごみなら定期的な収集日を待つこともできるかもしれませんが、ご遺品の整理の結果生じたご不用品となると、遺族の方々もその日しか時間が取れなかったりするために定期的な収集日を待つことが困難な場合があります。そうした際には、私たちの車両にご不用品を積み込んで処分場まで運搬できればお客様にとっても都合がよいのです。また自治体にとっても有益なことであるため、自治体の方から「そのようにしてください」と頼まれることもあるのです。
廃棄物の処分は原則として各自治体の責任において行うことが法律上定められており、こうした自治体の判断によって市町村の廃棄物収取運搬の許可がない私たちでもご不用品の運搬ができるわけです。