遺品整理士の堀川です。
さて、今回の内容は「故人が遺すモノ」の中でも特に扱いが特殊なものとなる「ご遺骨」についてのお話です。
お墓に納めるのが一般的だと思いますが、他の扱い方として「散骨」があります。散骨は現代では珍しくなってしまった供養の方法ではありますが、その歴史は古く、平安時代の歴史書にも天皇が自分の遺骨を散骨するよう命じたと記録されていたり、有名な万葉集の中にも妻の遺骨を散骨した際の心情を綴った歌が詠まれていたりします。
ではなぜ現代で散骨がマイナーな存在となったのかというと、江戸幕府の宗教統制政策として行われた檀家制度によるものが大きいと考えられています。檀家制度によって葬祭供養の一切はそれぞれが属する寺院が執り行うものとなり、常日頃からの参拝や法要などが義務化されていきました。そうして寺院の権限が強化される中で、石造りのお墓に納骨をするという方式が定着していったのです。お盆やお彼岸その他の法要などの行事が確立していったのも、この檀家制度によるものです。
しかし、故萩原流行さんの奥様が、海が好きだった流行さんの為に海洋散骨を選択し、それを行う様子がドキュメントタリーとして放送されるなど散骨に対する認知も変わってきています。