遺品整理士の堀川です。
私どもでは遺品整理サービスだけでなく、荷物の運搬や引越しのサービスも承っております。そこで感じるのは、遺品整理と引越しにはよく似ている面と、まったく異なる点の両方があることです。
引越しや荷物の運搬の際は、元の家から荷物を運び出しする事になります。建物の中から荷物を出し、トラックに積み込むのが普通の流れです。遺品整理においても、形見分けや自宅に運んでほしいご遺品を、同じように外まで運び出してトラックの荷台に積み込むことがよくあります。
その中で求められるのは、建物や家具に傷をつけないような丁寧さと繊細さです。引越しでも遺品整理でも運び出す品物はお客様にとって大切なものですから、万が一にも倒したり壊したりしないように気を付けなければいけません。さらに、時間的な制約がある場合にはこの作業をスピードを持って行わなければならなかったりして、依頼者から見ると圧倒される瞬間もあるかと思います。
このように非常に似ている部分のある引越しと遺品整理ですが、そこに求められる「深さ」というのが両者の決定的な違いと言えるでしょう。
まず何といっても、引越しよりもさらに細かい仕分けが必要になります。何しろ故人が大切にしていた物ですから、所有者ご本人がいらっしゃる引越しとは異なり、故人の気持ちを考えた上で判断していかなければなりません。
また、そうした分別だけでなく、作業中にご遺族となるお客様の感情の機微を察し取る繊細さも必要な能力です。「処分していいです」と言われた品物の中に、「とっておきたいけれど保管場所がない」「自分では管理できないから」といった見えない理由が隠されているものがあるからです。そのような機微を感じ取って、少しでもお客様(ご遺族様)の心に晴れやかになっていただくこと、この感覚が遺品整理サービスにおいて特に重要なものだと言えます。
引越しサービスも遺品整理サービスも実際に両方おこなっている立場として思うのは、遺品整理サービスのほうが引っ越しサービスよりも労力が大きいという事です。それはお客様ご本人にとってもおそらく同じ。引っ越しは自分の所有物をどうにかして分けていけばよいですが、自分の所有物ではなく両親や親戚の遺品の整理となると自力で分別するのも困難な事が多いと思います。遺品の整理を自らやろうとする時には十分な時間をとって行うことをおすすめします。