特殊清掃が必要になる原因として孤立死が挙げられます。これは体が思うように動かないなどの理由から、外に出なくなることで地域の方との交流が少なくなったり、セルフネグレクトの状態に陥ることから引き起こされることが多いとされています。

 孤立死と一口に言ってもなぜその人がそのような状態になってしまったのか背景は様々あります。私の受けた特殊清掃業務の場合もそうでした。

 若くして自分から死を選んだ男性は有名大学を出て、これからというときに亡くなりました。泣きながら遺品を確認するご両親やご兄弟のことを考えると、自分から死を選んでしまった故人に対して怒りの感情が込み上げてくるようでした。

 自分の好きなように生き、アルコールのせいで体を壊してしまった故人もいらっしゃいました。持病の発作によりその場にうずくまったまま亡くなられたそうです。ご兄弟とも疎遠だったとのことで亡くなった後に連絡があり、関東から九州へ駆け付けられたようでした。

 マンションの8階にお住まいだった方が亡くなったお部屋は誰からも相続されず、亡くなった時から時間が止まったように1年間そのままになっていました。長い期間ののちに管理会社の申請が受理され裁判所の許可が下りたので管理会社の負担で特殊清掃と家財の処分を行うことになったという事例もありました。

 亡くなる理由は様々ありますが、「死」というものは自分だけのものではなく、確実にまわりの人にも影響を与えることを念頭に置きたいものです。

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